YEZO Ⅱ




































〔WINTER,2018〕


YEZOノート#2

この旅の目的は憧れの地を訪れ、写真を撮影するというものだった。
写真について改めて考える上で、その考察が肉付けされることを期待していた。
私は旅に向かう前にその写真が撮影されたであろう場所に少なからず手がかりを見つけたかった。
しかし、思い付く手かがりと言えば、この道中、海沿いの道をずっと移動してきたことと写真に写っている湖などのかすかなランドマークくらいのものだった。
グーグルストリートビューを開いた。
それらの場所を見つけることはストリートビューでひたすら海沿いの道を見ていけば容易いことだと思ったのだ。
しかし、一枚の写真ですら検討をつけるまでに実に2日の時間を要した。
それだけに見つけた時の感動は大きかった。
この感動は現地に降り立った時、数倍にもなるであろう。

スーツケースの中身は防寒対策やカメラ器具により、海外に渡航するのかと思わせるほどの重量になっていた。
飛行機の重量オーバーにより、超過料金が発生した。
現地の空港に着いた時には16時を回っていた。
凍っていると思われる地面に気を払いながら、レンタカーにその重いスーツケースを乗せて足早に走り出した。
その日の宿のチェックイン時刻に間に合わせるためだ。
とにかく真っ直ぐ続く道は順調に距離を進めた。
雪道はカーブとブレーキさえ気をつけていれば、普段の道と変わらないと走り始めて数分で学習できた。
どこからかふと記憶が呼び起こされる景色を見るようになった。
13年前にも走った道であろうか。記憶を遡行する体験であった。
最終チェックイン時刻から30分ほど遅れて宿についた。
宿主の一言めは「間に合ったね」だった。
暗い雪道を車で走ってきた緊張感から解放される言葉であった。
それから4日間、肌の感覚さえ失う厳しい寒さの中、
時々キタキツネやエゾシカ、オオワシなどの動物とすれ違いながら私は憧れの地「YEZO」を撮影した。

YEZOノート#3に続く